税理士変更で税務調査対象になるって本当?
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「税理士を変更すると税務調査に入られる」という噂を聞いた経営者の方は多いのではないでしょうか?
顧問税理士を変える際、「税務署から目をつけられるのでは」と不安になり税理士の変更に躊躇している方もいらっしゃることかと思います。今回は税理士変更で税務調査の対象になるかどうか、税理士変更と税務調査の関係について解説します。
目次
税理士変更で税務調査の対象になるって本当?
税理士を変更したからといって、それ自体が税務調査の対象になることはありません。
ただ、以下のようなケースは税務調査の対象になることは十分にあり得ます。
こんな場合は税務調査の対象になり得る
- 税理士変更に伴い旧税理士と新税理士の申告内容が大きく変わる
- 旧税理士との税務処理方法が変わることで、数字に大きな差が出る
- 旧税理士の申告内容などに問題があり新税理士が修正申告を行なった場合
01、02の「申告内容の大きな変更」と「数字に大きな差が出る」という部分に関しては、税理士によって会計処理の考え方や経費の処理方法などが変わってくるためです。
03の「修正申告」は顧客を守るために新税理士が行う可能性のあるものです。
というのも修正申告を「税務調査で、指摘を受けた後に行う」と10~15%の過少申告加算税を納める必要があるためです。
税理士を変えたから調査されるのではなく、申告内容が変わったことで結果的に調査につながったにすぎません。
税務調査が行われる主な理由
それではどのような事象が税務調査の対象のなりうるのかを解説します。
売り上げと利益率のバランス
同業他社に比べて利益率が極端に低かったりする場合です。
人件費や経費が異常に高い場合などは注意が必要です。
大きな経費の計上
高額な交通費や広告宣伝費、私的利用と事業用の区別が曖昧な経費管理をしている場合は注意が必要です。
事業規模が大きい
事業規模が大きくなると自然と取引件数が多くなります。さらに海外取引、グループ会社との取引、資産管理が発生する場合もあります。これにより、 申告の誤りや不正の可能性が増える ため調査対象に入りやすくなります。
大手企業は大きな金額の課税漏れや修正申告につながる可能性があることもあり、優先的に調査する傾向があります。
これは、国税庁が公表している調査実績を見てもわかるように、資本金や売上が大きい企業ほど税務調査率がが高い傾向にあります。
直近数年間での売上・利益の変動が大きい
売上や利益が急増・急減していると、税務署は「申告に誤りや意図的な操作があるのでは?」と疑いを持つ場合があります。赤字と黒字の変動が大きい場合は「過去の赤字が正しかったのか」「なぜ急な利益が出たのか」と言った疑いをつ場合があります。
逆に、黒字から赤字に急転した場合には「過大な経費計上」が疑われます。
また、税務調査になりやすい業種というのもあります。
税務調査に入られやすい業種とは?
国税庁や税務署が税務調査の優先度を決めるときには、申告ミスや不正が起こりやすい業種を対象にすることがあります。例えば以下のような業種です。
現金商売が多い業種
風俗業、レストランや居酒屋、バーなどの飲食店、美容院や理髪店などです。
現金取引は履歴が残りにくいこともあり、申告ミスや不正が起こりやすく税務調査の対象となりやすい業種です。
売り上げが大きい業種
建設業・土木業は、税務調査の対象となりやすい代表的な業種です。
1回あたりの売上額が大きく、仕入れや工事に関わる職人・業者も多いため、税務処理の過程でミスが生じやすい傾向があります。さらに、工期が長期化すると売上や経費の計上タイミングが不明確になり、申告内容が複雑になりがちです。
また、統計的にも法人税の不正が発生しやすい業種とされており、その点からも税務調査が実施されやすい業種に位置づけられています。
まとめ
税理士を変更したからといって、それ自体が税務調査の対象になることはありません。
ただし、新しい税理士が過去の誤りを是正したり、処理方法の変更によって数字に差が出たりすると、その変化がきっかけで税務署が注目し、調査につながる可能性はあります。
つまり、「税理士変更=税務調査対象」ではなく、むしろ信頼できる税理士に依頼することで、申告の適正化やリスク回避につながります。安心して経営に専念するためにも、変更を不安視するのではなく、より良いサポートを受けられる体制を整えることが大切です。