税務情報と税理士事務所検索の「税理士検索ドットコム」

税理士検索ドットコム

事業売却・会社売却の相場を解説

将来M&Aを視野にいれている方は、事業売却と会社売却のどちらを選択しようか迷うこともあるでしょう。本記事では、事業売却と会社売却の違いや相場を解説します。ぜひ参考にして、判断材料のひとつにしてみてください。

事業売却と会社売却の違い

本章では事業売却と会社売却の違いについて解説します。
事業売却と会社売却の相場を知る前に、2つの違いをおさえておきましょう。

事業売却とは

事業売却とは、会社の事業の一部、あるいは全部を第三者に譲渡することを指します。
例えば、美容業を営んでいる会社が「ヘア事業」と「エステ事業」の2つの事業を行っていたとします。このたび「ヘア事業」に専念したいため、「エステ事業」を売却することにしました。これは会社の事業の一部分を売却した「事業売却」に該当します。

会社売却とは

会社売却とは、会社全体を譲渡する行為を指します。すなわち、株式を売却して、会社の所有権を手放すということを意味します。
先ほどの「ヘア事業」と「エステ事業」の2つの美容業を営んでいる会社が、会社を売却した場合は、事業売却のようにどちらか一方の事業を残すということはできず、会社のすべてを譲渡することになります。

事業売却と会社売却の3つの違い

事業売却と会社売却の違いをまとめると以下のようになります。

事業売却 会社売却
会社の所有権 移転しない 移転する
売却する対象 該当事業を構成している資産・負債 会社の株式
消費税の課税対象 課税対象となる資産に消費税が課される 非課税

事業売却での売却価格・相場

事業売却における売却価格の相場の算出方法を紹介します。事業売却における売却価格の算定方法には以下の4つがあります。

  • 年買法
  • DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)
  • マルチプル法(類似会社比較法)
  • 時価純資産法

それぞれ解説をします。

年買法

以下の算定式を用いて、事業の価値を算出する方法です。

時価純資産(修正純資産)+営業利益×任意の年数

任意の年数は3〜5年であることが一般的です。
他の算出方法よりも簡便的な手法なので、時間をかけずに事業価値を算出できるというメリットがあります。

売却価格の例

年間利益、純資産が以下の場合の売却価格の例

– 年間利益 5百万円
– 純資産 8百万円

– 計算式 8百万円 + 5百万円 × 3年

● 売却価格 23百万円

DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)

将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて算出した値によって、企業価値を評価する方法です。売却する事業の資産や事業計画などをもとに、売却後にどれだけの収益性やキャッシュが見込めるかを計算します。

事業が将来に生み出す収益の期待や予測を反映できるというメリットがあります。

マルチプル法(類似会社比較法)

売却の対象となる事業内容などが類似する上場会社の株価を参考にして売却する事業の価値を算出する方法です。
実際の株価や決算書の数字をもとにして計算するので、客観性の高い算出方法といえます。

時価純資産法

該当事業の有する資産・負債の時価を算定し、純資産の金額を計算する方法です。該当事業の有する資産・負債の時価を正確に算定しなければいけませんので、専門的な知識が必要です。
時価が反映されているので、現時点での該当事業の現状を把握できるというメリットがあります。

会社売却での売却価格・相場

会社売却での売却価格の算定方法は、事業売却における売却価格の算定方法と基本的には同じです。ただし、事業売却時には該当事業の評価だけをしますが、会社売却時には会社全体の評価をすることとなります。
事業売却における売却価格の算定方法で紹介したものに加え、他の算定方法も用いられます。
ここでは過去事例比較法を解説します。

過去事例比較法

売却する株式に関して、過去に売買がある場合や、売買は行っていなくても株価の評価をしたことがある場合に、その取引価額をもとに株式の評価をする方法です。
実際になされた株価の評価をもとに現在の株式の評価をする方法なので、客観性の高い評価方法であると言えます。

事業売却・会社売却の相場は算定方法により変動する!

基本的には売却価格の相場は「事業売却<会社売却」となることが多いでしょう。
ただし、事業売却、会社売却いずれにしても、どの算定方法を用いるかによって売却価格の相場は変動します。どの算定方法を用いて売却価格の相場を求めるかについては、慎重に検討する必要があります。

まとめ

今回の記事では、事業売却と会社売却の違いと売却価格の相場について紹介しました。
事業売却と会社売却どちらを選択するとしても、専門的な知識が不可欠です。当サイトではM&Aに強い税理士を検索することができます。「条件から探す」から「M&A」を選択して、ぜひ検索してみてください。