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M&Aに際してかかる税理士報酬の相場とは?

M&Aではさまざまな分野の専門家の力を借りますが、その専門家たちの報酬相場は気にしておきたいところ。
想定していたよりも多額の請求をされて、報酬が支払えないばかりに、せっかくのM&Aのチャンスを無駄にする……なんて想像したくもありませんよね。

今回のコラムでは、M&Aに関わる専門家の中でも「税理士」に焦点をあて、M&Aにおける税理士の業務内容や報酬相場などを解説します。
このコラムを読んで、あなたのM&Aに最適な税理士を見つけられるようになりましょう!

このコラムに出てくるキーワードの解説

M&A 合併あるいは買収により事業の一部あるいは全部を他の企業に移転させること

M&Aを税理士に依頼するメリットとは?

M&Aを成功させるためには、さまざまな専門家の力を借りなければなりません。
複数の専門家に協力を依頼すれば、異なる視点からリスクの洗い出しが可能になり、M&Aを円滑に進めることができます。

今回の章では、M&Aに関わる複数の専門家の中でも「税理士」にM&Aを依頼するメリットを4つ紹介します。

  • 節税のアドバイスを受けられる
  • M&Aのリスクを会計・税務の観点から考えられる
  • ほかの士業と連携が取れる
  • 正しい申告を行える

節税のアドバイスを受けられる

M&Aを税理士に依頼するメリット1つ目は「節税のアドバイスを受けられる」です。

M&Aを実施した結果、利益が出た際には税金の納税義務が発生します。
大企業のM&Aともなれば、税金だけで何千万円という支出が発生するケースもありますが、税理士からアドバイスを受けて節税対策を行える可能性があるのです。

たとえば売り手企業の役員に退職金を支払うケースでは、経費の否認を回避するために、税理士に妥当性のある退職金額を算出してもらうことができます。
また要件が合致すると、M&Aについての税制優遇制度が活用できるため、税制に精通している税理士にM&Aを依頼すれば、大きな節税効果を得られる可能性があるのです。
詳しくは、2024年、M&Aが減税に!中小企業の合併・買収による控除を解説をご覧ください。

M&Aのリスクを会計・税務の観点から考えられる

2つ目のメリットは「M&Aのリスクを会計・税務の観点から考えられる」です。

M&Aで企業価値を算出する際、簿外債務や保証債務など目には見えないリスクを見落としてしまうと、買収価額が適正価額よりも高くなってしまう可能性があります。
しかし税理士に企業価値の算出を依頼すれば、会計・税務の観点からリスクを洗い出し、適正な買収価額を算出してくれるのです。

ほかの士業と連携がとれる

3つ目のメリットは「ほかの士業と連携がとれる」です。

多くの税理士は、公認会計士・弁護士・社会保険労務士などと独自の繋がりを持っており、税務以外の相談を受けた際には、ほかの士業事務所と連携して問題解決にあたります。
M&Aでは複数の専門家の知識が必要になりますが、税理士以外の専門家について、あなたの税理士がプロフェッショナルを紹介してくれる可能性があるのです。

正しい申告を行える

4つ目のメリットは「正しい申告を行える」です。

M&Aを実施した後の確定申告は、通常の申告より複雑な作業になるのが一般的です。
もし申告にミスがあれば、修正申告の手間がかかるほか、追加徴税の可能性もあるため、通常時よりも慎重に申告を行わなくてはなりません。
しかしM&Aに税理士が関わっていれば、すでに税理士がM&Aの詳細を承知しているため、スムーズかつ正しい申告が行えます。

M&Aにおける税理士の業務内容と報酬相場

M&Aにおける税理士の業務内容は、節税アドバイスや企業価値の算出、M&A相手との交渉まで多岐に渡ります。

今回の章では、M&Aで税理士に依頼できる業務内容とそれぞれの報酬相場を紹介します。

  • 税務デューデリジェンス(買収企業の調査)
  • バリュエーション(企業価値の算出)
  • 会計・税務のサポート
  • M&Aのアドバイザリー業務
  • その他の業務

税務デューデリジェンス(買収企業の調査)

税務デューデリジェンスとは、M&Aの実施前に買収企業の資料を入手して、税務リスクを調査する業務です。

簿外債務や保証債務といった目に見えないリスクを見落としてしまうと、適正な価額でのM&Aが実施できません。
決算書だけでは読み取れないリスクの洗い出しも必要になるため、税務デューデリジェンスは会計・税務のプロである税理士に依頼するのが一般的です。

税務デューデリジェンスの税理士報酬の相場は30~50万円程度です。
ただし、買収企業の規模や業種、事業所の数などによって作業量が変化するため、報酬が50万円を超える可能性もあります。

バリュエーション(企業価値の算出)

バリュエーションとは、買収企業の価値を算出する業務です。
バリュエーションによって算出された企業価値が、M&Aの取引価額の指標となるため、M&Aに関する税理士の業務の中でも非常に重要な業務であると言えます。

詳しくは、M&A・会社売却の相場は?売却価格の基準を解説をご覧ください。

バリュエーションの税理士報酬の相場は30~100万円程度です。
取引規模が大きくなるほど作業が複雑になり、作業量に比例して報酬額も高くなるため、事前に見積書で報酬の目安を確認しておくと良いでしょう。

会計・税務のサポート

M&Aには、売り手・買い手で個別に会計処理を行う「個別会計」、グループ会社として会計処理を行う「連結会計」、税金計算を行う「税務会計」と、3つの会計種類があります。
M&Aの方法によって会計処理や税務処理が異なるため、会計・税務のプロである税理士を頼り、正しい会計処理・税務申告を行いましょう。

会計・税務サポート報酬の相場は年間30~50万円程度です。(中小企業の場合)
ただし、M&Aの実施時には税務の複雑化が予想されるため、通常の申告料に追加料金が上乗せされる可能性がある点に注意してください。

M&Aのアドバイザリー業務

積極的にM&Aのサポートを行っている税理士事務所では、M&Aの相手探しや契約書作成サポートなど、M&Aに関する業務全般を請け負ってくれる可能性があります。
それぞれの作業を複数の専門家に依頼するよりコストを抑えられる可能性があるため、少しでも報酬額を安くしたい人は、全面的にM&Aサポートを行っている税理士事務所を選んでも良いでしょう。

M&Aアドバイザリー業務の報酬の相場は、50~150万円程度です。
ただし上場企業や大企業など、取引が大規模の場合は1,000万円を超えるケースもあります。
また、企業の売買価額に応じて報酬額を決定する「レーマン方式」を採用しているケースでは、売買価額決定後にしか税理士報酬がわからないため、事前に報酬体系を確認しておくのをおすすめします。

その他の業務

上記4つのほかにも、事業計画書の策定や第三者委員会への出席など、M&Aにおける税理士の業務は多岐に渡ります。

なお、業務内容や報酬額はそれぞれの税理士事務所で異なるため、M&Aの依頼をする前に、どこまでのサポートを、いくらで行ってくれるのか確認しておきましょう。

M&Aで税理士を選ぶときのポイント

M&Aは締結するまでに数年を要するケースもあります。
M&Aを進めている最中に税理士とトラブルが起きると、時間もお金も無駄になってしまう可能性があるため、どの税理士に依頼するのか事前に見極めることが大切です。

今回の章では、M&Aで税理士を選ぶときのポイントを5つ紹介します。

  • M&Aの経験豊富な税理士を選ぶ
  • サポートの範囲を確認する
  • 税理士の得意分野を把握する
  • 報酬体系を確認する
  • コミュニケーションが取りやすい税理士を選ぶ

M&Aの経験豊富な税理士を選ぶ

M&Aで税理士を選ぶときのポイント1つ目は「M&Aの経験豊富な税理士を選ぶ」です。

知識があっても、実際に経験しなければコツや注意点に気づけないケースには、あなたも心当たりがあるのではないでしょうか。
特にM&Aは複雑な取引のため、M&Aをスムーズかつトラブルなく進めたいのであれば、過去にM&Aの実績がある税理士に依頼すると良いでしょう。

サポートの範囲を確認する

2つ目のポイントは「サポートの範囲を確認する」です。

たとえば、あなたの依頼したかった作業について税理士が対応できなければ、新たに対応可能な専門家を探さねばならず、大きなタイムロスが発生してしまいます。
M&Aを依頼する前に、あなたの税理士がどこまでサポートを行ってくれるのか、ほかの士業事務所と連携体制はあるのかなど、業務範囲を確認しておくのが重要です。

税理士の得意分野を把握する

3つ目のポイントは「税理士の得意分野を把握する」です。

税理士にも得意分野・不得意分野が存在します。
特定の業種に詳しかったり、リスクの洗い出しが得意だったり、あなたのM&Aと税理士の強みが合致すれば、安心してその税理士にM&Aを任せられるでしょう。
あなたが依頼する税理士に得意分野・不得意分野を尋ね、可能であれば過去に同じ税理士にM&Aを依頼したことのある人に話を聞いてみましょう。

報酬体系を確認する

4つ目のポイントは「報酬体系を確認する」です。

前章で詳しく紹介しましたが、M&Aに関する税理士報酬の相場は高額です。
特に、売買価額に応じて報酬額を決定する「レーマン方式」では、売買価額が大きくなるほど税理士報酬も高額になるため、想定していたよりも報酬額が膨らむ可能性があります。
M&Aを依頼する前に、どの業務にいくら報酬を支払わなければならないのか、しっかりと確認しておきましょう。

コミュニケーションが取りやすい税理士を選ぶ

5つ目のポイントは「コミュニケーションが取りやすい税理士を選ぶ」です。

M&Aは複雑な取引のため、税理士と密にコミュニケーションを取らなければなりません。
返信が遅かったり、回答の内容が曖昧だったり、担当者の態度が悪かったりするとコミュニケーションがうまくいかず、取引の進捗が遅くなる原因になります。
依頼をする前にコミュニケーションがスムーズに取れるか確認して、気持ちよく対応してくれる税理士にM&Aを依頼しましょう。

まとめ

今回のコラムでは、M&Aにおける税理士の業務内容や報酬相場、M&Aで税理士を選ぶときのポイントなどを解説しました。
これまでの内容をまとめると以下のとおりです。

  • M&Aを税理士に依頼するメリットは4つ
  • M&Aにおける税理士の業務内容は5つ
  • 報酬額は取引の規模によって変わる
  • M&Aで税理士を選ぶときのポイントは5つ
  • 依頼する前に業務範囲や報酬額を確認する

M&Aを成功させるためには、信頼できる専門家を見つけることが大切です。
信頼できる専門家に作業を任せられれば、時間的・費用的なコストの損失を避けられるうえ、取引がスムーズに進むことで、M&A後の円滑な経営にも良い影響を与えるでしょう。

このコラムを読んで、M&Aを依頼する税理士を探してみようかと考えた方は、まずはM&Aの実績がある税理士事務所に問い合わせをしてみてください。
事前に問い合わせをすると、依頼後の流れや税理士の強み、あなたとのコミュニケーションの相性もわかるほか、複数社に問い合わせれば、より相性の良い事務所が見つかるでしょう。

まずはあなたの会社の近くで、M&Aの経験が豊富な税理士を探すところから始めてみましょう!