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アルバイト採用時に必要な手続きとは?

アルバイトを雇用すると人手不足を解消できたり、単純作業を任せたりできて、会社全体の業務効率がアップします。
そのため事業が安定してくると、事業拡大を目指してアルバイト採用を検討する人もいるでしょう。

今回のコラムでは、アルバイト採用に必要な書類について詳しく解説します。
また、重要度の高い書類の解説では、あなたとアルバイトが用意するべきものについても記載しています。

このコラムを読んで、事前に準備するべきものを把握し、アルバイトの採用手続きを慌てることなくスムーズに進められるようになりましょう!

法律上必要な書類

法律上必要な書類とは「アルバイト採用時に必ず手続きが必要な書類」です。
今回の章では、法律上必要な書類2つを詳しく解説します。

  • マイナンバー
  • 労働条件通知書

マイナンバー

「アルバイト本人」「アルバイトをする人に扶養されている全員の分」のマイナンバーの写しを預かってください。
マイナンバーは非常に重要な個人情報のため、雇用主には管理の徹底が求められます。

雇用主が準備するもの なし
アルバイトが準備するもの
  • アルバイト本人のマイナンバーの写し
  • アルバイトをする人に扶養されている人がいる場合は、その全員分のマイナンバーの写し

労働条件通知書

労働条件通知書とは、労働条件を会社から従業員に通知する書類です。
労働条件通知書の交付は法律で義務付けられていますが、一方的な通知書類のため「通知は受けたが同意していない」というトラブルに発展する可能性があります。
そのため「労働条件通知書兼雇用契約書」の書式で書類を作成して、従業員から同意のサインをもらうのが一般的です。
なお試用期間を設けている場合、試用期間中でも雇用契約は結ばれているので、正式採用後ではなく雇用が始まる際に労働条件通知書を作成しましょう。

労働条件通知書には「絶対的明示事項」と「相対的明示事項」、パートタイム労働法で定められている明示事項を記載しなくてはなりません。
また労働条件通知書と雇用契約書を兼ねるケースでは、上記に加えて秘密保持義務・社会保険・福利厚生に関する項目などを追加すると良いでしょう。

なお原則、書面での交付が義務付けられているため、労働条件通知書は必ず書面にて作成してください。

雇用主が準備するもの 労働条件通知書兼雇用契約書 2部
(1部を会社控え、もう1部を従業員の控えとする)
アルバイトが準備するもの なし
(雇用契約書を兼ねる際には印鑑が必要)

参照:厚生労働省,採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました。具体的には何を明示すればよいのでしょうか。
参照:厚生労働省,パートタイム労働者の適正な労働条件の確保のために

※2024年4月より労働条件明示のルールが変更されました。
参照:厚生労働省,令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます

雇用保険・社会保険・税金の手続きで必要な書類

アルバイト採用時に必要な手続きは、それぞれのアルバイトの働き方によって異なります。
特に、雇用保険・社会保険・税金の手続きは、労働条件や扶養の有無によって内容が変わるため、各アルバイトごとに必要な手続きを判断しなければなりません。
今回の章では、雇用保険・社会保険・税金の手続きで必要な書類6つを詳しく解説します。

  • 雇用保険被保険者資格取得届
  • 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
  • 健康保険 被扶養者(異動)届
  • 源泉徴収票
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 住民税を特別徴収へ切り替える届出

雇用保険被保険者資格取得届

雇用保険被保険者資格取得届は、アルバイトが雇用保険に加入する際に提出する書類です。
アルバイトでも一定の要件を満たした際には、雇用保険の加入対象者となるため必要に応じて届出を提出しましょう。
なおアルバイトが、過去に働いていた会社で雇用保険に加入していたケースでは、雇用保険被保険者証を所持しているはずですので提出を促してください。

雇用主が準備するもの 雇用保険被保険者資格取得届
アルバイトが準備するもの
  • マイナンバー
  • 雇用保険被保険者証
    (雇用保険被保険者証がない場合は、雇用保険被保険者番号がわかればOK。ハローワークに再発行の依頼も可能)

参照:ハローワーク インターネットサービス,雇用保険被保険者資格取得届
参照:厚生労働省,事業主の行う雇用保険の手続き

健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届

健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届は、従業員が健康保険・厚生年金に加入する際に提出する書類です。
アルバイトでも一定の要件を満たした際には、健康保険・厚生年金の加入義務が発生するため、必要に応じて届出を提出しましょう。

なお、健康保険・厚生年金の加入義務が発生する状態を、一般に「扶養からはずれる」と表現します。
アルバイトから「扶養範囲内で働きたい」との申し出があった際には、健康保険・厚生年金の加入義務に該当しないような労働条件になっているか確認しましょう。

雇用主が準備するもの 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
アルバイトが準備するもの
  • マイナンバー
  • 年金手帳
    (年金手帳がない場合は、基礎年金番号がわかればOK)

参照:日本年金機構,従業員を採用したとき
参照:地方厚生局,社会保険(厚生年金保険・健康保険)への加入手続はお済みですか?

※2022年10月と2024年10月に社会保険料の加入対象企業・加入対象者が拡大されます。
参照:厚生労働省,社会保険適用拡大ガイドブック

健康保険 被扶養者(異動)届

健康保険 被扶養者(異動)届は、アルバイトに扶養している人がいる場合に提出する書類です。
アルバイトに扶養している人の有無を確認して、必要に応じて届出を提出しましょう。

雇用主が準備するもの 健康保険 被扶養者(異動)届
アルバイトが準備するもの
  • マイナンバー
    (本人の分、扶養されている全員の分)
  • 扶養されている人の生年月日・住所・年収などの情報

参照:日本年金機構,家族を被扶養者にするとき、被扶養者となっている家族に異動があったとき、被扶養者の届出事項に変更があったとき

源泉徴収票

源泉徴収票は、1年間の収入が記載されている書類です。
採用したアルバイトが雇用された年と同年に、あなたの会社以外で働いていたケースでは、源泉徴収票が年末調整の計算時に必要になります。
なお源泉徴収票は前職の雇用形態(正社員・アルバイトなど)に関係なく必要で、初めての就業であるケースや雇用された年と同年には就業していなかったケースでは提出は不要です。

雇用主が準備するもの なし
(預かった源泉徴収票は、年末調整時に使用するため保管しておく)
アルバイトが準備するもの 源泉徴収票
(アルバイトとして雇用された年と同年に収入があるケースのみ。複数社で働いていたケースでは全社分必要)

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、年末調整に必要な書類です。
「扶養」と名前がついているため、扶養する人がいない場合は提出不要と勘違いされやすいですが、年末調整をする人は全員提出が必要です。
なお給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出しないと、源泉所得税が低い税率(甲欄)で計算できなくなるため、後回しにせず、必ず入社時に記入してもらいましょう。

また給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は1つの勤務先にしか提出できないため、複数社で働いている人を雇った際には、すでに他の会社で提出していないか確認してください。
なお複数社で働いているケースでは、最も多くの収入を得る勤務先に申告書を提出するのが一般的です。

雇用主が準備するもの 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
アルバイトが準備するもの
  • マイナンバー
    (本人の分、扶養されている全員の分)
  • 扶養されている人の生年月日・住所・年収などの情報

参照:国税庁,A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告

住民税を特別徴収へ切り替える届出

アルバイトが住民税の特別徴収(給与から住民税を差し引くこと)を希望する際には、住民税を普通徴収から特別徴収へと切り替える手続きをしましょう。
なお、住民税の特別徴収への切り替え手続きは、各市区町村によって様式が異なるため、該当のアルバイトが居住する市区町村のホームページを確認してください。

採用するアルバイトが1人目の従業員となるケースで必要な書類

個人事業主や役員のみで構成されている法人では、初めて従業員(アルバイトを含む)を雇うまで、労災保険・雇用保険・社会保険の加入対象者がいないケースがあります。
各保険の加入対象者がいなかったケースでは、アルバイトの手続きをする前に、まずは会社が各保険の対象企業となるための手続きをしなくてはなりません。
具体的には『雇用保険・社会保険・税金の手続きで必要な書類』で紹介した書類に加えて、以下のような書類の提出が必要になります。

  • 労働保険関係成立届
  • 労働保険概算保険料申告書
  • 雇用保険適用事業所設置届
  • 健康保険・厚生年金保険 新規適用届
  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
  • 就業規則の作成

法律上必須ではないが作成すべき書類

アルバイト採用時に、法律上必須ではないが作成すべき書類は以下のとおりです。

  • 雇用契約書
  • 待遇差に関する説明書
  • 入社誓約書
  • 秘密保持誓約書
  • 身元保証書
  • 住民票記載事項証明書
  • 給与振替口座の登録申請書
  • 交通費・通勤経路の申請書
  • 健康診断書
  • 免許・資格証明書・学歴証明書の写し

・・・など。
アルバイト採用時にはさまざまな取り決めを行いますが、口頭での説明だけでは後から「言った・言わない」とトラブルに発展する可能性があります。

そのため、重要な取り決めや遵守してもらいたい事項の確認については、書面を作成し、会社とアルバイトそれぞれで保管する形にすると良いでしょう。

なお上記の例は、一般に作成するケースが多い書類のみを記載しています。
上記に記載のない書類でも、あなたの会社に必要と思われるものは、専門家に相談のうえ作成しましょう。

まとめ

今回のコラムでは、アルバイト採用に必要な書類を4つに分類して詳しく解説しました。
これまでの内容をまとめると以下のとおりです。

  • 法律上でアルバイト採用に必要な書類は「マイナンバー」「労働条件通知書」
  • 雇用保険・社会保険・税金関係の手続きの有無は労働条件や扶養によって異なる
  • 初めて従業員を雇うケースでは必要書類が増える
  • 重要事項の説明や確認は書面にて行う

アルバイトには比較的簡単な作業を任せるケースが多いですが、アルバイトの採用手続きは「簡単に」とはいきません。
それぞれのアルバイトの労働条件によって必要な手続きが異なるほか、提出期限が設けられている書類もあるので、準備を怠ると、慌てて手続きを進めることになります。

今回のコラムを読んで、早速、アルバイト採用に必要な書類を準備しようと考えた方は、まずはアルバイトの労働条件を確認しましょう!

労働条件を確認すると、雇用保険・社会保険の加入対象になるかの判断ができるため、どの書類が必要かわかります。
必要書類がわかればアルバイトに準備してもらうものもわかるので、事前に連絡をしておけば、入社日に手続きをスムーズに進められるでしょう。

アルバイトが入社してから慌てなくて良いように、まずは労働条件を確認し、必要書類の選定、準備するものの確認、アルバイトへの連絡を済ませておきましょう!